名古屋大学医学部の入試科目とその対策

医学部受験のプロ

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2019/12/28

はじめに

本記事では、名古屋大学医学部入試の対策方法を徹底解説します。名古屋大学医学部に合格するために知っておきたい情報を詰め込んだので、受験を考えている方は本記事を読んで効率よく対策してください。

センター試験と二次試験の比率

名古屋大学医学部の入試では、センター試験の得点と二次試験の得点の比率は、900:1650となっております。旧帝大医学部の中ではセンター試験の比重が大きいのが特徴で、旧帝大医学部の中で最もセンター試験の比重が大きいのは北海道大学の300:450ですが、名古屋大学はそれに次いでセンター試験の比重を大きくしています。センター試験でつまずかないように十分な対策が必要です。
センター試験については2020年度入試では、国語、数学(1A・2B)、英語、理科(物理・化学・生物から二科目選択)、社会(世界史B、日本史B、地理B、倫理政経から一科目選択)の合計900点分であり、圧縮や傾斜配点はされず素点で評価されます。ただし、英語に関してはリスニングが課され、250点満点を200点に換算した上で合計点を計算します。また、令和2年度入試(令和元年度実施)からは、二段階選抜が廃止されます。
二次試験の点数の内訳は、国語150点、数学500点、理科500点(物理・化学・生物から二科目選択)、英語500点となっております。得点比率は低いとはいえ、医学部入試で国語が課されるのが特徴です。
次からは、二次試験の各科目(理科は物理・化学のみ)の特徴とその対策方法を見ていきましょう。

国語の特徴とその対策

名古屋大学医学部の二次試験の国語は150点満点、制限時間105分となっています。課されるのは例年、評論文、古文、漢文となっており、総合的な国語の力量を見るセットとなっていたのですが、令和3年度入試(令和2年度実施)から、古文と漢文が廃止され、現代文のみの入試となります(配点は従来通り150点)。ここでは、従来型の入試に倣い、評論文・古文・漢文それぞれについてその特徴と対策を見ていきます。
現代文では毎年多様なテーマの、3000字以上の長い評論文が出題されます。105分という時間を考えると、それなりの速読力が必要となります。問題は、文章中に出てくる漢字の読み書き、内容理解に関する記号選択問題、記述問題などが主なものです。例年、漢字は読み問題と書き問題を合わせて10問、また記述では字数が指定される問題が課されます。配点は不明ですが漢字の出題が多いためその対策が必要であり、また制限字数に記述解答をまとめることを意識したトレーニングを積むべきでしょう。
古文は1000字前後の短めの文章が例年出されます。2019年は幕末時代の資料から、2018年は平安時代の物語から出されるなど、多様な出典から出題されます。問題は例年、現代語訳と内容理解を問う記述問題で、記号問題は出題されない傾向にあります。また、2018年度入試では文学史が出題されました。現代語訳では単語や助詞や助動詞の知識を確実につけた上で、与えられた文を適切に品詞分解し、逐語訳をしていく姿勢が重要です。また、内容理解において古文で問題となるのは、古文では頻繁にある主語や目的語の省略による混乱が生じうることです。主語は何かを判定する重要な要素は、尊敬語や謙譲語ですので、それらの知識もつけた上で、登場人物の上下関係を把握しながら読解していきましょう。
漢文では、文中の漢字の読み問題や、一部を書き下し文にする問題、さらには現代語訳や内容理解を問う記述問題など、漢文を多様な観点から問う問題が出題されます。頻出の漢字や句形(反語形・疑問形など)については確実に押さえるようにしましょう。また、内容理解問題については、根拠をしっかり本文中から取ること、つまり問い方を変えた現代語訳問題である、という姿勢で臨むと良いでしょう。
理系の入試の国語であり、あまり手が回せないという受験生も多いことでしょうが、その場合でもせめて漢字だけはやることをおすすめします。全教科の総合点数における配点は低いですが、一点を争う医学部入試では不安要素はなるべく減らしていきましょう。

数学の特徴とその対策

名古屋大学医学部の数学は制限時間150分、500点満点となっています。例年、大問4つで構成されており、150分で大問を6つ課す東大や京大と比べると、大問一問あたりにかける時間に余裕はあります。しかし旧帝大の数学だけあってハイレベルな問題が例年課されます。また、問題用紙には数学公式集が付属していて、試験中に自由に参照してよい、というルールがあることも、名古屋大学医学部の数学の特殊性の一つです。
近年の傾向として、整数問題や確率、数3の範囲の微積分が頻出であると考えられています。もちろんこれらのみが出題されるわけではありませんが、これらの範囲に苦手意識のある受験生は早急に対策をすべきでしょう。
対策のためにおすすめの問題集としては「理系数学の良問プラチカ」や「理系数学入試の核心・難関大編」などが挙げられます。これらを演習した後は過去問演習に移って良いでしょう。先述した通り名古屋大学医学部の数学は大問1つにかける時間が長くとれるため、「やさしい理系数学」や「ハイレベル理系数学」などのさらにレベルの高い問題集をこなすよりは、過去問を時間を区切って本番と同じ形式で演習する方が、時間内でどこまで記述するか・見直しはいつするかといったような、どのような戦い方を進めていくべきかを研究した方が良いと考えられるためです。
解答用紙は大問一つに対して比較的大きく、長い数式や論述を書く余裕があります。ただし、大問1つにつき小問が3~4問問われることもあるため、記述量に応じて適切に解答用紙を分割することも、記述力の一部と言えるでしょう。
配布される公式集ですが、使うべき公式を探す手間を考えれば、理想を言えば使わなくても問題ないくらいまで実力をつけることがベストです。また赤本などの過去問集には公式集はついていない可能性もあるため、過去問演習をやる中で公式集に頼らない戦い方を磨きましょう。

英語の特徴とその対策

名古屋大学医学部の英語は制限時間105分、配点は500点となっています。問題はセンター試験のような文法正誤や、課題となる長文の内容理解に関する選択問題のほか、英文和訳、内容理解に関する記述問題、英作文と、リスニングこそないものの多岐にわたります。制限時間が短いため速読力はトレーニングする必要があるでしょう。
和訳や内容理解の記述問題では解答の字数を指定されることが多く、制限字数で解答をまとめるトレーニングも必要となります。しかし何より忘れてはいけないことは、内容理解問題の解答は本文中から求めること、いわば問い方を変えた和訳問題である、という姿勢で臨むべきだということです。
後半には、二人の人物が英語で会話する内容に関する問題が出されますが、この大問の導入文と問題文も英語で書かれており、問題の意図も正確にくみ取らなければなりません。内容理解のほか、文中に出てくる難しい単語の意味を会話の流れから推測するという問題も出てきます。
英作文問題も後半にあり。作文のテーマとなる課題文も英語で書かれています。2019年度ではグラフや表などの統計資料を読解した上で英作文を書くという出題がされましたため、高得点を狙うためには単なる英語力ではなく、資料読解や社会問題への関心も求められると考えた方が良いでしょう。
総じて名古屋大学医学部の英語はレベルが高く配点も大きいため、レベルもそれなりに高い参考書が必要となります。単語力をつけるならば「システム英単語」や「速読英単語」を完璧にすることで十分通じることでしょう。長文読解の力をつけるならば「英文解釈の技術100」や「やっておきたい長文700」などがおすすめされます。英文法や熟語の知識をつけるならば「速読英熟語」「Next Stage」「全レベル英文法問題集シリーズ4」の三冊を演習すれば十分すぎるくらいの対策となるでしょう。英作文では、着想の方法から論の展開まで解説してくれる「例解和文英訳教本 自由英作文編」がおすすめです。

物理の特徴とその対策

名古屋大学医学部の物理は、物理以外に選択した化学あるいは生物と合わせて制限時間150分なっています。例年、大問3つで構成され、力学と電磁気の分野は頻出、熱力学と波動の分野は年度によって変わる、という傾向となっています。数式を書いて計算過程も評価される問題のほか、間違えてしまうと0点となってしまう記号問題のウエイトも大きいため、生半可な実力しかない受験生やケアレスミスをしやすい受験生は弱点を克服し、正答を獲得する姿勢が必要です。
力学は数式を記述するなどの記述問題がメインで、力の釣り合いや運動方程式、運動量・エネルギー保存則や単振動などについての正確な知識と、問題文中の図においてどこにどんな力が働いていて、どの物体とどの物体の間にどの物理学的法則が当てはまるか、を正確に把握する力が必要です。難関大学の物理では、例えば物体が地面から離れるなどして、物体に加わる力が変化するなど、問題が進むにつれ設定が変わることもあり、その時その時の物理学的事象を、時にはその前の状況を応用するなどして把握することが求められます。
電磁気でよく題材となるのは回路の問題です。コンデンサやコイル、ダイオードの特徴をよく理解し、電圧降下の式を正確に立てることが基本中の基本であり、難しく見えてもそれがしっかりできるだけで解ける問題も多いです。難関大学では回路の問題は頻出なので、他の難関大学の過去問演習も有効な対策となるでしょう。
波動は覚えるべき公式が少なく、難しい問題は設定の難しさや、図解の難しさによって難易度を上げている傾向にあります。そうした問題を解くには演習量が必要となるでしょうが、問題が難しく見えても使う式は必ず自分の知っているものだと思って、落ち着いて臨みましょう。
熱力学では、起きている変化が何変化(断熱変化か等温変化か、など)を念頭においた上で、ピストンや大気圧と容器内の圧力の力の釣り合いと、状態方程式を立式することが出発点です。難関大学の入試ではピストンの単振動を考えるなど力学の考え方も必要となることがあるので、やはり多様な問題に触れる必要があります。

化学の特徴とその対策

名古屋大学医学部の化学は、化学以外に選択した物理あるいは生物と合わせて制限時間150分となっています。例年大問が5つで構成されており、物理と化学を選択するならば、物理を早めに終わらせて化学に時間を割くことが理想です。出題範囲は無機化学や理論化学、有機化学はもちろんのこと、糖類や高分子や生化学も頻出です。糖類や高分子や生化学はセンター試験では選択制であり、かつウエイトは軽いですが、名古屋大学医学部の入試では大問を丸ごと一つその分野が占めることがあるため、入念に対策しましょう。
理論化学の気体の問題では、状態方程式やボイル・シャルルの法則をしっかり理解し、圧力や温度の値を適切に算出すればほとんどの問題は解くことができます。溶液や電離平衡の問題では、難関大学の入試では「近似」という概念を押さえると良いでしょう。すなわち、電離定数が著しく低い反応において、右向き反応の生成物を加えた時に、電離はほぼ起こらない、という考え方です。化学ではこの考え方を背景にして、難易度の高い問題を作ることがあります。
無機化学では、知識問題と滴定の数値計算問題が主な出題です。知識問題は教科書を読み込んだり問題を解いたりして慣れていきましょう。滴定の問題は、まずは反応式を正確に立てることが第一歩で、そこから係数をもとに滴定量を算出すれば、決して難しいことはありません。
有機化学では名古屋大学医学部ではそこまで複雑な物質は出題されない傾向にあるため、分子式の導出や、官能基の反応など、基本的なところを確実に押さえ、応用できれば必ず得点できます。過去問や問題集を演習するときは下手に複雑な問題に手を出すよりは、確実に知識がつくような問題を選んで演習していくと良いでしょう。
糖類や高分子、生化学分野では、まずは教科書の事項を定着させることが重要です。名古屋大学医学部の化学のこの分野の出題では、基礎的な知識をもとにした実験結果(例えば「アミノ酸Aはキサントプロテイン反応を起こした」や「二糖Bは還元性を示さない」など)からの出題が頻出です。基礎さえ押さえれば難しくない、と落ち着いて臨みましょう。

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